「第7回 映画の復元と保存に関するワ−クショップ」に行ってきました。

8月25日から27日の、「第7回 映画の復元と保存に関するワ−クショップ」に行ってきました
(これを書いているのは、帰りの新幹線の中です)。
このワークショップにお邪魔するのは、昨年に続いて二回目です。
1・2日目は京都文化博物館、3日目はイマジカウェストが会場です。


文博は、10年以上前に行ったのが最初で、その当時は平安時代を専攻する学生だったので気付いていなかったのですが、
フィルムアーカイブズと上映施設をお持ちです。映画文化・京都という風土を活かしたアーカイブズだと思います。
アーカイブズといえば、今回は京都府のクールスポット(公共施設に来て、節電しよう!)の一環で、総合展示室や上映施設を開放されていました。
総合展示室に、陽明文庫の資料が出ていて、その中に藤原道長直筆の『御堂関白記』がありました!
具注暦に書き込んで当時の日記が作られていることがよくわかる好史料!拝見できてうれしかったです。


1日目は、映画に関する基礎知識(毎回ですが…とのお話もありましたが、映画を生業としていない身には「基礎の確認」でありがたいです)が、まず。
文博の森脇さんのお話は、所属先で視聴覚資料(動画だけではなく)をアーカイブしていくことを考える人にとって役に立つポイントを沢山提示されていた。
映画保存協会ほかの「コミュニティに根差した地域アーカイブの展開」は、実例が多く、映像のアーカイブの意味を体感できる話だった。
地元との関係作りは、三好さんが仰られたように自治体立図書館との連携が必要かと感じた。
あとは現存の自治体の境界線ではなく、以前の自治体の区割りとか。東京都港区のように麻布・芝・赤坂という個性を持っている合併前の旧区が1区になっていると子rもあるけれども、自治体によっては江戸・明治初期の区割りや地区感覚等を用いたほうが収集しやすいかな(現在の自治体の複数連携…予算的なこともあり、容易ではないけれども)。


2日目は、国立近代美術館フィルムセンターのアーカイブズ構築についてと、オーディオ・メカニックス社のお仕事の話が印象的だった。
フィルムセンターのとちぎさんの「各種のフィルムが、保存すべき理由をそれぞれ持っている」から網羅的収集が必要とのお話は、もっと共有化されていいと思う。
ジョン・ポリトさんと宮野さんのオーディオ・メカニックス社の保存のお話はとにかく実践的で、すごく勉強になった。
クライアントとの話し合いが必須で、その結果で実務がチューンアップされるのは会社員時代の実感なので、余計感服した。
同時に常に勉強し、進歩しないといけないんだろうなと感じた。見習わなければ。
上映は午後と夕方の両方見たけれども、「疏水〜流れに沿って」が一番印象的だった。まちの記憶が封じ込まれているから。
ある意味、映像(や音、写真)は記憶の真空パックなのだと思う。


3日目は、イマジカウェストさんのご厚意で、ラボの業務全般を、時に実習を交えてお教えいただいた。
撮影済みフィルムは「万が一」があったら(そもそもあってはいけないとのことでしたが)代替できるものではないので、いかに神経を遣われているかよく分かった。
実習はラボにお願いする前にチェックする点を学ぶだけでなく、そもそも人災的な損傷を所有者が行わないようにする啓蒙活動的な意味もあると思う。
2年前にある大会にブースを出されていた際に試作されていたものの完成版も拝見できた。その熱意に感服。


映画でなく音声を研究テーマとしていること、もっと勉強してから質問等の発言をしようと思っていたので、
懇親会に出ず、あまり名刺交換等も積極的にしていなかったのですが(すみません)、
すごく勉強になった3日間でした。
主催者の方をはじめ皆様、ありがとうございました!
来年も伺えれば…と思います。