一年後の素直な思い

この文章を書き始める今は2012年3月11日21時49分。
3月1日夜、38度2分の熱を出して以来、呼吸器がトラブル気味なので、今日は自宅にいました。
ここ数日、twitterfacebookでご心配いただいた皆様、イベントへのご案内を頂いた方、お返事できずすみませんでした。
仕事はしていましたが、それ以外でPCに向かうには体力がありませんでした。

東日本大震災の時は業務中で、職場に一晩泊まりました。
電車とバスを乗り継いで帰宅したのは翌日の午後3時。最寄駅を通る電車は12日20時前まで大津波警報の関係で不通でした。
なので、1年後の今日はどうしても神奈川にいたいという思いもありました。
テレビで震災慰霊式典などをみて、いろいろ考えた日になりました。

今朝の朝日新聞の別刷りによると、神奈川県は死者4人、半壊83戸。
東日本大震災の被害としては小規模なのでしょう。
でも、この数字を、神奈川で生まれ・育ち・住んでいる者としてちゃんと捉えていこうと思います。
東日本大震災を機に結成された、神奈川歴史資料保全ネットワークの一員として…
(神奈川資料ネットは、日常からの活動も視野に、データ整備を行っています)。

このブログを掲示板ともしている、首都圏地域資料情報ネットワークや、savearchivesはありますが、
この間できたことは本当にわずかだなと思います。
レスキューも、この一年で岩手に三回行きましたが、枠組みを作っていただいた上。
自分のお財布事情もあり、宮城や福島は行けませんでした。
史料ネット・宮城資料ネット・ふくしま史料ネット・茨城ネット・千葉や山形や新潟のネット等の方々には本当に頭が下がります。

あまりにも微力な自分に悔しくて何度も泣きました。
落ち込んでもうやめようかとも思いました。でも諦められませんでした。
私が研究テーマとしている音のアーカイブズ資源化との関係も、密接だと今も思っています。
全て重ならないかもしれないけれども、今回の被災・震災資料との関係を示していく意思は変わりません。
とはいえ、この一年にできたことはあまりにもわずかゆえ、何もコメントをするのはやめようかとも思いました。
それでも書いているのは、この思いを宣言したいからだと思います。
皆さんに比べて私はできないことばかりですが、わずかでも進んでいこうと思います。

岩手でのレスキューの時、地元の方に「なぜ神奈川から?」と聞かれました。
「小学校から郷土教育で関東大震災を習い、困った時は助け合うよう学んだから」という答えは、きれいごとではなく、本心です。
阪神・淡路大震災の時は大学1年生の学期末&今は寛解している病気のコントロールができなかったから何もできなかった。
東日本大震災の後、大学を休学して被災地でボランティアをしているしている人がいると新聞で見ればそうすればよかったのかなとも思います。
一年前、計画停電で電車を待ったことや職場の再開や大学の学年暦が変更するかもわからなかったことはだんだん忘れてきている自分も感じます。
覚えているのは何かできないかと思ったこと、皆で一斉に動ける時まで待ちなさいとアドバイスをいただいたこと、
そして、学年暦のまま新学期が始まる幸せを感じながら勉強をしていこうと思ったこと。
今できることに向き合わなくてどうする…と思っていました。

いろいろなやり方があり、その全てに今追いついていないのは確かですが、
「人」として、できることを精いっぱいやろうと思う気持ちは変わりません。
私は記録者として仕事をしてきた時間が、職務経歴としては長いので、
本当は自分の記録をこういう場で明らかにする必要があるのかもしれません。
ただ、今は自分の記憶を固定化するのはもう少し後にしたいのと、
今残すべき情報の必要性を客観的な立場から示していくことが私の役割だと考えています。

この先、ずっと神奈川にいないかもしれませんが、
こう思う素地を作ってくれた神奈川、関東、そして日本の人の拠り所になる「思い」を継承していく一助はずっと負っていきたいです。

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表に出たくないと思っていたので書くのを控えていましたが、
それもあなたのやりたいことを言って、できる人に実現してもらったんでしょ、とある人にさっき(この文を書いている途中で)電話で指摘されたので、ちょっとだけ。
避難された方の受入県である神奈川で暮らす身として、神奈川のことも知ってほしいけれども、
避難せざるを得なかった方々に、これまで暮らしてきて来られた地のアイデンティティを忘れないでもらう支援をしたいと、1月にふくしまネットの方に言いました。
とはいえ、自分で実現する方法はうかなばかった。
そういう思いを聞いてくださり、業務に反映してくださったのが、神奈川県立図書館の「東北3県の歴史にふれる」です。
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/yokohama/information/tenji1105.htm
無邪気に言ったことに向き合い、かたちにしてくださった県立図書館の方には感謝申し上げます。
実は私もまだ見に行けていないのですが、一県民として、多くの方に東北の県の、そして様々な地の風土に目を向けていただけるきっかけになったら嬉しいです。

まとまりがないですが、今の正直な気持ちです。
東日本大震災から一年。これからもできることを行っていく、と再度思った日でした。
              2012年3月11日 23:34